山羊、飴玉、そらまめ、金魚

ごくごく個人的な事情

ケプちゃんとワオちゃんに続け

 自分の背丈の半分ほどの大きさがある、ワニの形をした抱き枕を買った。おそらくクロコダイルではなく、アリゲーターであるところのワニ。

 触り心地がひんやりとしていて、もちもちと柔らかく滑らかで、それでいて無臭で、そのうえ離れたところに縫い付けられた小さな目がすこぶる可愛らしくて、さらに初心者の塗り絵のような真緑色をしている。

 

 最近また不眠気味となってしまっており、冷房を付けずとも過ごせる夜が増えてきたことも併せて、寄る辺ない寂しさが足元から迫ってきているような気がする。そこで、ワニを毎晩のように抱きしめて目をつむる。私に抱かれていないときには、きっと枕元で寝顔を見つめているはず。

 ベッドに横になってから眠りにつくまで、とりとめのないあれこれを思い浮かべながら、気が付いたらワニを撫でている。無意識のうちに、ゆっくりと優しく、掌と指を駆使して、ワニを撫でている。それはワニのお腹であったり、背中であったり、はたまた目ん玉であったり、ありとあらゆる体の部位をくまなく撫でている。

 自分がそのような動作をしていると意識的になった瞬間、「私が幼い頃の両親だったり、かつて恋仲であった人だったり、私を撫でてくれたことのある人々も、このような心持ちでいたのだろうか」と世紀の大発見をしたような、誇らしい気持ちになった。

 たとえ撫でていたのがただの手癖であったとしても、今となっては憎しみしか残っていない関係に成り果てていても、他人から動作として愛情を向けられたことがあると思えたのは、ワニが家に来た効能であるのかもしれない。とても良いね。他人との関係を築くための、私の中での一つの拠り所となる。

 それにね、なんてったってこのワニは可愛い。

 

 こうして新しい仲間を迎え入れたので、うちにあるぬいぐるみ類は、コアラ・トリケラトプスワオキツネザル・ワニ、の4種類4匹となった。以前書いた記事のように、部屋の中をジャングルみたく変化させていきたい衝動が続いていて、飽きっぽい私にしては良い傾向である。