山羊、飴玉、そらまめ、金魚

ごくごく個人的な事情

桃色のチョコバナナ

 

世間は春真っ盛りと言ったご様子、風が冷たい瞬間はまだまだあるけれど、昼間の陽気はもう当たり前の顔をしてそこにいる。

 

東海随一と地方情報誌で評されていた名所に、二週連続でお花見に足を運んでいる。足、と言ってもこの町は完全な車社会なので、もちろん自動車で向かう。桜を見ながら甘いピンクのお酒でも、とはいかないのが少しだけ悲しい。

先週は、今まさに咲かんとす、と再読文字の句形を覚えたての高校生のようなことを言いたくなるような開花状況で、花見客だけを数えるなら閑散としていたのだが、今日は八分咲きくらいには開花していて、屋台が出るわ和太鼓が鳴るわ大道芸芸人がいるわ戦国武将が記念撮影会をしているわ、とお祭り騒ぎになっていた。桜が主役でなくなっているのが腑に落ちないな、と思いながらも恋人にクレープとたこ焼きを買ってもらって、心もお口もほくほく、粉もん最高。花は言うまでもなく最高。

今日訪れた公園からは、私の職場の裏手まで川沿いに桜並木が続いているので、仕事の休憩時間にも毎日のように一人で花見をしにふらふらと出かけている。散り切ってしまうまで、あと何回お花見できるかしら。

 

帰り道の車内で、流れているCDの曲名に興奮気味に言及し続ける彼に、「こうやって会うのはやめない?」と言う。それだけですべて察してくれるところは嫌いじゃなかった。彼の返事は「ありがとう」の一言だった、今までの楽しかったことを思い出してそう言ったらしい。聞き分けと諦めの良すぎるところはあんまり好きじゃなかった。

 

平成の次の元号は何か、とみんなが騒いでいる。彼も騒いでいたし、今朝も持論を話してくれた。聞いたこともない、斬新で明るくてふんわりとした説だった。明日、新元号が発表されれば、その予想が当たっていたかどうかははっきりするけれど、正解だったかどうかは誰にも話さず、私と彼だけの秘密にしておこう。

この、平成が終わることは分かっているのに次の元号が分からない、という宙ぶらりんな状態がずっと続けばいいのに、とずっと思っていた。そうすれば曖昧なまま継続できていたのかもしれないな。時代のせいにする悪いやつ。

 

今日中に書かなければ、この話題の鮮度が失われてしまう。近頃、何もかも展開が早くて置いていかれがちなので、なんとか滑り込みたい、との一心でここまで書いた。

 

私、間に合えてる?