自分の部屋をジャングルや熱帯雨林みたく作り変えたい、と突然思った。
具体的には、あちらこちらから猿やら鳥やら虫やらその他正体の知れない生き物たちの鳴き声が響いていて、濃い緑色の葉をつけた低木と言いながら私の背丈くらいは余裕で追い越してしまうほどの植物が生い茂り、むせぶほどに胸に重い草の香りと湿気と静謐さに押し潰されるような空間に住みたい。
だが、今のところ眼前には都内8畳1Kのアパートの一室、家具も最低限しか置かれておらず、ジャングルにはほど遠い。
私以外の動物をペット不可のこの部屋に入れておくことはできないし私以外の命が重すぎる、ありとあらゆる虫がそんなに得意ではない、この狭い部屋で湿度を上げればカビに包まれ不快指数も伴って上がっていく、等々の理由から現実的ではない。
そこでまずは、住み良いと感じられる部屋にするために家具を増やすことから始めた。それまでは、ただ“暮らすことはできる”というだけの部屋だった。
冷蔵庫と壁との空間を埋めるレンジ台、座って作業ができるデスクと椅子、本が増えてきたから回転式の本棚、枕元に座ってもらう恐竜のぬいぐるみ、家具で床を傷付けないためのラグ、…。
ほとんどをネットで注文したため、まだ手元に届いていないものもいくつかあるが、部屋に置くのが楽しみで楽しみで仕方がなく、生活に支障があるのにもかかわらず、届いた後の家具配置に物を動かし、ぽかりと空いた何もない隙間を愛おしく眺めて暮らしている。
注文したものすべてが、茶色と緑色。大地の色。
次は、初心者にも育てやすい観葉植物を増やしてみようかと考え始めた。
葉が大きくて、背丈が高くて、それでいて虫があまり湧かないハイドロカルチャーなんかを使った鉢植えが良さそう。
だんだんとジャングルや熱帯雨林ではなくて、植物園の温室に近付いてきたような気がするが、それも楽しくて良い。部屋にいる動物が私だけでも成立するところが良い。
幼稚園や小学校の遠足・家族のレジャーで数えきれないほど足を運んだ、地元の公立植物園。大きな温室に入るとすぐに、ででんとド真ん中にラフレシアが構えていた。今でも時折、夢に登場する。
大人になってから訪れた植物園も素晴らしいところばかりだったが、あそこがきっと原点なのだろう。
何をしても何を考えても、無意識のうちに回帰している。私には、そういう生き方が向いているのかもしれない。
変化を求めた結果、元に戻る。変化を求めた理由は、戻りたかったから。
こういう恰好つけない日記も、少しずつ書いていこうと思う。