山羊、飴玉、そらまめ、金魚

ごくごく個人的な事情

いささか露悪趣味に過ぎる

 

私の家の中にはドアがない。すべて引き戸で、ずっと、なんだか不便だな、と思っていたけれど、紐をくくる場所がないからそれはそれで良いんじゃないか、と今日初めて思えた。

  

 

「こんな日がくるとは思わなかった。」

天気の良い暖かな午後に二人で家の近くの川沿いをゆっくりと散歩できる日?

とことん体調が悪い日に家までポカリと薬と温かいおでんを買ってきてくれて、たくさん胸を揉ませてくれる日?

日付が変わった瞬間にキスできる至近距離に好きな人がいる誕生日?

それとも、夏の夜更けに草むらの中で初めて抱き合えた日?

どんな日もくるよ、私は「こんな日がくるとは思わなかった」とは思わない、思いたくない、そう思えばそれはすべてただの理想の具現化に成り下がっていつかは体の芯から消えてしまう、ずっと現実にいさせてほしい。

 

  

ダイエットをすると明言してしまった。ちょうど今、私の頭よりも大きいキャベツが丸ごと冷蔵庫に眠っている、主食をキャベツにしよう。数日が経って、千切りにするのとオリジナルのドレッシングを作るのだけが上達した。体重はたぶん減っていない、家に体重計が無いからはっきりとは分からないけれど。

 

 

泣きじゃくりながらリンゴの皮を剥く。「いつもより塩っぱいね、これ。」なんて言うけれど、なんだかそれって不潔じゃない? きっと根っからのロマンチストにはなれないね。

驚くほどの量の砂糖を鍋に入れて煮る。ただひたすらに煮る、煮詰める。

嵩が減る、色が濃くなる、

 

 

最後の一本まで吸いきってしまった。外出しなければ、お金を使わなければ、経済活動を、生活を、家事を、睡眠を、呼吸を、

 

 

私の人生の登場人物になった気分はどう?

監督主演脚本音響照明はすべて私、編集は利かない

 

 

伸びた爪と髪の長さでのみ、生を知る。私は母にはなれない。