透明になりたい時期が定期的にくる。
更衣室に忍び込みたいとか、犬を散歩させているおばさんの後をこっそり尾けたいとか、好きな人の生活を眺めていたいとか、そういうことでは全くなくて、ただただ透き通りたい、透き通った存在になりたい、そのために澄んだものだけを飲み食いしていたい、しなければならない。
体内へ、色、香、味のある
熟した味のある食品は口へ運べなかつた。直ぐむかついた。熟した味の
まだ実の入らない果実、塩
それぞれの作品の要はこの箇所ではないようにも思うが、二作品に共通するこれらが、もう何年も、脳裏から離れない。
矛盾した摂食行動に走る、じわじわと後悔が湧いて出るが、吐いて無かったことにするような気概は持ち合わせていない、じっと消化されるのを待つ、明け方も通り過ぎた、日が長いのは喜ばしい。